「読む」に特化した短歌イベントを――短歌県みやざき事業の中でのスタンプラリーの役割

紹介

「ニシタチ短歌のスタンプラリー」そしてそのイベント主体である「ニシタチ歌集化プロジェクト」について、過去記事でご紹介してまいりました。

ニシタチ歌集化プロジェクトについて
本プロジェクトに興味を持ってくださった皆さん、ありがとうございます。ニシタチ歌集化プロジェクトを運営している「短歌で歩こう会」の久永です。このページでは、このプロジェクトについて、少しだけ解説させてください。 歌集ってなに?...
ニシタチ短歌のスタンプラリーって?
「街を一冊の歌集にしちゃおう」というコンセプトのニシタチ歌集化プロジェクト。その目的を達するためのイベントとして打ち出した本スタンプラリーについて、紹介です。ニシタチ短歌のスタンプラリーとは「ニシタチ短歌のスタンプ...

ニシタチ歌集化プロジェクトは、令和3年度県民芸術祭のいちイベントとして、「宮崎県芸術文化協会」と共催、「アーツカウンシルみやざき」の助成、宮崎県からの後援を受けて行っている企画です。
平たく言うと、宮崎県から予算を頂いて行っているイベント、ということになります。
でも、なんでそんなことしてるの? というお話です。

短歌県みやざき

宮崎県は若山牧水の出身地。

白鳥は哀しからずや空の青海のあをにも染まずただよふ 若山牧水

この短歌は、現在刊行されている高校の国語の教科書ほぼすべてに掲載されているそうです。見覚えがある人も多いのではないかと思います。

さて、そんな若山牧水を擁する宮崎県は、文化事業の大きな枠組みのひとつとして「短歌県みやざき」を掲げています。

実際、若山牧水賞や牧水・短歌甲子園といった、「若山牧水」を冠したイベントは多いですし、昨年開催された「国文祭・芸文祭みやざき2020」でも短歌は大きな柱として取り上げられました。

でも、短歌ってやっぱり敷居が高いというか、ちょっと興味はあってもいきなり始めるには難しそうなイメージ、ありますよね。

すそ野を広げたい

【重大発表】歌人さんはこの方!
2021年10月某日、宮崎ブーゲンビリア空港に降り立ったある人物。そう、 本プロジェクトの心臓ともいえる、ニシタチを詠んでくださる「歌人さん」のとうじょうです。(`・ω・´) その正体や如何に⁉(ここでドラムロール)空港で...

こちらの記事でも少し書きましたが、県の方から「短歌県みやざき事業として、短歌のすそ野を広げるイベントをやりたい」というお話を頂きました。

どういうことかといいますと、現行の短歌イベントは「すでに短歌に親しんでいる人」向けの企画が多い、という側面がありました。
有名な歌人さんを呼んで行う講演会や、短歌の作り方を学ぶワークショップなどが、まさしくこれに当たります。これは確かに、短歌を読んだことも詠んだこともない人からしたら、あまり興味をそそられないでしょう。

もちろん、「短歌により深く親しむ」という意味で、これらのイベントは重要です。
しかし、「短歌に親しむ人」それ自体を増やしていく事業も必要です。
そんな企画を打ち出したい、県の方々。

一方、そんなことつゆ知らず、とある短歌イベントで「どんな短歌のイベントがあったらいいと思いますか」というアンケートに
(;・∀・)「短歌をQRコードにして街に隠そうぜグヘヘヘ」
とめちゃくちゃ妄想を書き連ねた僕、久永草太、宮崎大学農学部獣医学科4年(当時)。

後日僕のもとに、アーツカウンシルと県の人から
「この間書いてくれた企画、やります」
という連絡がありました。

(;・∀・)「ふぁーい、やってくれるんだー」
とめちゃくちゃのんきに構えていた僕、久永草太、所属心の花、みなと。

そんな僕に、彼らが言いました。
「ってなわけで、予算出すから、この企画を進める団体とその銀行口座を作っといて」

(;・∀・)「あ、」
(;・∀・)「もしかして、僕がやるんすか?」

彼らは頷きました。なんてこった。

「読む」に特化した短歌イベント

高名な歌人の講演会や、参加者に短歌制作を要求するイベントは数多くありますが、そもそも「集まること」「制作すること」が心理的ハードルであり、短歌に初めて触れる人の後押しにはなりにくいと考えます。
ハードルの低いイベントを模索する中で、短歌を「鑑賞するだけ」の企画をいかに面白くできるか、挑戦しようと思います。

これは、予算獲得のために県に提出した企画書の文言の抜粋です。

僕自身、内向的で、服屋で店員さんに声を掛けられるのも苦手なタイプです。マックでハンバーガーを注文するだけでもビクビクしています。

そんな人が企画するイベントなので、「読む」ことに特化しちゃおう。これをどれだけ面白くできるか、実験みたいに、イタズラみたいに、とにかくやってみよう、という趣旨です。

「街をまるごと歌集にして、その中を歩き回ろう!」
そんな、ふわっとしたことしか書けなかった企画書。どうなることやら……と思っていましたが、
無事採択されちゃいました

【事業名】
ニシタチ歌集化プロジェクト
【採択理由】
「まちをひとつの歌集にするという取り組みは全国的にも例がなく、短歌県みやざきとしては必要な事業である(後略)」

ニシタチ歌集化プロジェクト、誕生の瞬間です。もう後には引けなくなっちゃいました。

当然ですが、電話をかける前にも10分くらいの精神統一を必要とする僕ひとりでは、絶対に立ちゆきません。
この企画を手伝ってくれている仲間のことも、またの機会に紹介できればなあ、と思います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました