No.263/2024年9月19日【月】 月光は月の寝息かほそほそとやがては錆びて横たわる釘

乃上あつこ

月の光が柔らかく見える時もあれば、内なる硬質さを持って輝いて見える時もある。月はまさに見る人の内面を投影している。見上げた月の光は、生まれたばかりの純度に満ちている。地上に降りたった後の月光は、どうなるのだろうか。闇を愛せる牧水ならば、錆釘であっても大きな闇の一部として愛するに違いない。

作者/乃上あつこ(のがみあつこ)

1976年、横浜市生まれ。東京女子大学文理学部卒。中国留学を経て現在は銀座の美容施設に勤務。2014年から短歌を始め、第三十一回玲瓏賞受賞。現在は玲瓏、現代短歌南の会「梁」、牧水研究会に所属。

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