あまりにも我ら見上げてくるからに十五夜知るや今日のぼる月
今年は中秋の名月と牧水忌とが重なった。月は暦を数えていないだろうし、お空の上の牧水さんもいつが命日かなんて気に留めていないかもしれない。そう思えば、地上の我らが見上げたり、祭ったりすることで、「ああ、今日だったのか」と気づいてもらうというのも、意義あることなのかもしれない。月を見ながら、今夜はどの酒を白玉の歯にしみとおらせようか。
作者/久永草太(ひさながそうた)
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1998年、宮崎市生まれ。宮崎西高文芸部で短歌を始める。宮崎大学在学中は宮崎大学短歌会で活動、第三十四回歌壇賞を受賞する。現在は牧水・短歌甲子園OBOG会「みなと」、「現代短歌 南の会」、「心の花」所属。獣医師。
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