No.254/2024年9月10日【夜】 星々のたまごを抱いてあたためる夜空は母親、見上げるみんなの

乃上あつこ

伊藤先生の昨日の歌「わたしこそ死のいろなのよ」の台詞が気になって、更けゆく夜の空を見上げてみると「わたしこそみんなの母親なのよ」と、聞こえてきた気がした。黒い空には、まだ光を放たない無数の星の卵が埋もれている。ひっそりとした闇の中で、次の光を育んでいる。そうだった、私たちみんなそうやって生まれてきたんだ、と思い出したような気持ちになった。

作者/乃上あつこ(のがみあつこ)

1976年、横浜市生まれ。東京女子大学文理学部卒。中国留学を経て現在は銀座の美容施設に勤務。2014年から短歌を始め、第三十一回玲瓏賞受賞。現在は玲瓏、現代短歌南の会「梁」、牧水研究会に所属。

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