黒鍵と白鍵こまかくふるえつつ鱗のごとしあなたのゆびに
きのうの午後は、ピアニストで歌人でもある河野美砂子さんが出演されるコンサートへ。私も高校生の頃までピアノを習っていて、いっときは音楽の道を志すほど熱中したので、いまでもピアノの音を聴くと、懐かしさとともに、自分の過去に対する遠近感が深いところでねじれるような感じがする。実家のリビングにあったアップライトピアノも売ってしまい、この両手の指だけが残った。
作者/大森静佳(おおもりしずか)
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1989年、岡山県生まれ。「京大短歌」を経て「塔」短歌会編集委員。2010年に第56回角川短歌賞を受賞。歌集に『てのひらを燃やす』、『カミーユ』、『ヘクタール』がある。京都市在住。
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