陸橋は空と空とをつなぐ旅 書くことでこころを浮かせたい
歌をつくるときによく散歩をするのだけれど、最近妙に陸橋が気になる。階段と橋から成る陸橋の、橋の部分に立ってみると、道路を走る市バスや公園の樹木などありふれたものが普段と違って見える。葉っぱの一枚一枚が中空に浮かんで光っているのが、どこか異様な、まばゆいような感じ。そうして、眠りに落ちる直前にからだがふわっと浮きあがるようなあの一瞬に似て、やっと言葉が湧いてくる。
作者/大森静佳(おおもりしずか)
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1989年、岡山県生まれ。「京大短歌」を経て「塔」短歌会編集委員。2010年に第56回角川短歌賞を受賞。歌集に『てのひらを燃やす』、『カミーユ』、『ヘクタール』がある。京都市在住。
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