一生に一枚の舌そよがせて今夜は冷やす〈蒼空〉の辺に
〈蒼空〉は京都伏見「藤岡酒造」の純米酒。なにしろ名前がいいし、無色透明の瓶に藍染めのちいさな布を貼っただけのシンプルなデザインもうつくしい。味は、澄みきった空のように爽やかで、ひとくちごとに目が醒める。先日お会いした三枝昂之さんも、以前京都で飲んだ〈蒼空〉をとても気に入ったとおっしゃっていた。牧水にもぜひ飲んでほしかった。
作者/大森静佳(おおもりしずか)
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1989年、岡山県生まれ。「京大短歌」を経て「塔」短歌会編集委員。2010年に第56回角川短歌賞を受賞。歌集に『てのひらを燃やす』、『カミーユ』、『ヘクタール』がある。京都市在住。
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