眉剃ればすこし涼しい眉間から狗尾草へ吹く風を見ている
今日は夫の誕生日なのでケーキを食べる。べつに嫌いなわけではないけれど、数年前からだんだん甘いものに興味がなくなって、ケーキはこういう日でないと食べない。気象庁のサイトで彼が生まれた年の8月の気温(京都市)を検索してみると、なんと最高気温が30℃を下回る日も多いようだった。8月4日の記録は曇り。過去の天気や気温を調べるのが好きで、いろいろな友人知人の誕生日を検索しては、残された数字からその日の空の色などを思い浮かべてみる。暑い暑い毎日、玄関を出てすぐのところの、ねこじゃらしの繁茂がとめどない。
作者/大森静佳(おおもりしずか)
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1989年、岡山県生まれ。「京大短歌」を経て「塔」短歌会編集委員。2010年に第56回角川短歌賞を受賞。歌集に『てのひらを燃やす』、『カミーユ』、『ヘクタール』がある。京都市在住。
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