思い出す顔は横顔ばかりなり我ら河川敷帰宅同盟
あまり人の顔を覚える才能がない。そもそも人の顔というのを日頃ちゃんと見ていないのかもしれない。目を見て話す、ということ自体ちょっと苦手であるし、目の前の人と話しても、なんとなくその人の骨格全体をぼんやりと掴んでいるだけで満足して、顔面にピントが合っていないように思う。あんなに毎日、朝から晩まで会っていた中高の友達たちも、10年を経て少しずつその顔を忘れつつあってかなしい。
作者/久永草太(ひさながそうた)
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1998年、宮崎市生まれ。宮崎西高文芸部で短歌を始める。宮崎大学在学中は宮崎大学短歌会で活動、第三十四回歌壇賞を受賞する。現在は牧水・短歌甲子園OBOG会「みなと」、「現代短歌 南の会」、「心の花」所属。獣医師。
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