横顔を見せてトレイに並びいる鮮魚売り場を過ぎる横顔
草太さんの火葬話から伊藤先生の『人間臨終図巻』と続き、私はスーパーで売られている死んだ魚を歌った。売られている魚は、目を開けて死んでいる。それを通り過ぎる買い物客もまた、スーパーという水槽の中を回遊する魚のようだ。目を開けて横顔を見せて、私たち人間は魚のように通り過ぎていく。
作者/乃上あつこ(のがみあつこ)
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1976年、横浜市生まれ。東京女子大学文理学部卒。中国留学を経て現在は銀座の美容施設に勤務。2014年から短歌を始め、第三十一回玲瓏賞受賞。現在は玲瓏、現代短歌南の会「梁」、牧水研究会に所属。
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