No.212/2024年7月30日【魚】 さかなとは酒を飲むとき添へ食べる魚菜(ぎよさい)が本意 今夜何にせむ

伊藤一彦

宮崎では晩酌のことをダリヤミあるいはダレヤミという。ダリは「垂り」の意味で、疲れを意味する。ヤミあるいはヤメは「止み」「止め」である。つまり、疲れをとるのは晩酌が一番と言うことでこの語が使われるようになったらしい。酒は心身の健康に役立つ百薬の長か、それとも心身を害する毒か。飲む量や飲む際の魚菜も関係があるらしい。ところで、手帳を見ると、今日7月30日は左千夫忌、潤一郎忌、露伴忌と3人がでている。やはり夏の暑さが死に関係しているか。こういうときに便利なのが山田風太郎著『人間臨終図巻』全3巻(徳間文庫)である。左千夫は49歳、潤一郎は79歳、露伴は80歳で世を去っている。死因はそれぞれ脳溢血、腎不全、狭心症によるものだった。この3人の中で最も酒を好み健啖家だったのは谷崎潤一郎か。

作者/伊藤一彦(いとうかずひこ)

1943年、宮崎市生まれ。「心の花」会員。「現代短歌 南の会」代表。若山牧水記念文学館長。読売文学賞、寺山修司短歌賞、迢空賞、斎藤茂吉短歌文学賞など受賞多数。

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