No.211/2024年7月29日【グリル】 魚焼きグリルの窓をいつの日かされる火葬を覗いてしまう

久永草太

鯵がじうじう焼けてきていい匂いがする。僕は火葬というものがほんのり怖くて、死んだ後のことだからどうなったって構わない、という割り切り方ができない。というか、死んだ後なら熱く感じない、という確証が持てないことが何より恐ろしい。死人に口がないから教えてくれないだけで、死人は死人なりの感じ方で熱い熱いと悶えているかもしれない。

作者/久永草太(ひさながそうた)

1998年、宮崎市生まれ。宮崎西高文芸部で短歌を始める。宮崎大学在学中は宮崎大学短歌会で活動、第三十四回歌壇賞を受賞する。現在は牧水・短歌甲子園OBOG会「みなと」、「現代短歌 南の会」、「心の花」所属。獣医師。

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