三人でグリルの炭を囲みつつここからは藤棚が見えている
暑すぎる。とりあえず「暑すぎる」って言っとけばいいみたいな感じはおもしろいけど、それにしても暑すぎる。自分は今とは違う季節の歌を作ることも多くて、印象を思い出しつつ8月に冬の連作を作ったり初夏に桜の歌を作ったりしている。うまく言えないけれど、それによって歌により言葉として向き合える、というような感覚はひとつある気がする。ただ、例えばいま冬ってどんな感じだったかというのは肌感としてはまったく思い出せないというところもあっておもしろい。「反対の季節も過ぎてきたけれど空気の感じを思い出せない」という歌を作ったことがある。
作者/福山ろか(ふくやまろか)
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2004年、浜松市生まれ。埼玉県在住。高校一年次、現代文の授業をきっかけに作歌を始める。「さえずりに気づく」で第六十八回角川短歌賞次席。「眼鏡のふち」で第六十九回角川短歌賞次席。「白昼」で第三十五回歌壇賞次席。慶應義塾大学在学中。東京大学Q短歌会所属。
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