指さきは辺境として漂えるわたしの声のささやくところ
指先はとても目につきやすい。手のひらから伸びる指は、表情があるようにも見える。接客業をしていると、指先をそろえて指し示す練習をするし、ネイルをするか磨いて艶を出すかして、できるだけきれいに見せなくてはならない。勤務時間以外のとき私の指は、少し開いている。指も指なりにリラックスしているのだろう。
作者/乃上あつこ(のがみあつこ)
1976年、横浜市生まれ。東京女子大学文理学部卒。中国留学を経て現在は銀座の美容施設に勤務。2014年から短歌を始め、第三十一回玲瓏賞受賞。現在は玲瓏、現代短歌南の会「梁」、牧水研究会に所属。
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