麦茶飲む間は栞をやっていたそれがひとさし指に戻りぬ
指五本のうち、役割で名をつけられているのが人差し指、薬指である。動かしにくい薬指はあまり使われないので、汚れが少なく、薬を混ぜるのにちょうど良いという命名らしい。人差し指は言うまでもない命名だが、一番動かしやすくて便利な指と思う。あらゆるボタンを押してくれるし、麦茶と氷を混ぜるマドラーにもなってくれるし、栞紐をたぐることさえずぼらする僕のために本に挟まってくれて文句も言わない。ありがとう、人差し指。
作者/久永草太(ひさながそうた)
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1998年、宮崎市生まれ。宮崎西高文芸部で短歌を始める。宮崎大学在学中は宮崎大学短歌会で活動、第三十四回歌壇賞を受賞する。現在は牧水・短歌甲子園OBOG会「みなと」、「現代短歌 南の会」、「心の花」所属。獣医師。
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