No.195/2024年7月13日【殴】 殴るほど感情の蓋が砕かれて見知らぬわたしをわたしが撫でる

乃上あつこ

サンドバッグにひたすらパンチしていると、敵と向かい合うというよりも、自分の内面と対峙しているような気分になっていき、思いがけない感情がふと沸き上がることがある。殴ることでストレス発散になるが、それを通り越すと癒されていくような感覚になる。ゆったりとソファに座ってハーブティーを飲んでも、ヒーリング音楽を聴いても癒しきれない感情が、パンチとキックで溶かされてゆく。

作者/乃上あつこ(のがみあつこ)

1976年、横浜市生まれ。東京女子大学文理学部卒。中国留学を経て現在は銀座の美容施設に勤務。2014年から短歌を始め、第三十一回玲瓏賞受賞。現在は玲瓏、現代短歌南の会「梁」、牧水研究会に所属。

コメント

タイトルとURLをコピーしました