No.191/2024年7月9日【ごとく】 文字で逢ひ声で逢ひつつうつつには花粉のごとく君には飛ばず

伊藤一彦

五月から六月にかけての半月ほどの短い期間に、佐藤文香さんに二度も会うことができた。場所は愛媛県今治市と兵庫県小野市。前者は若山牧水、後者は上田三四二のシンポジウムで。佐藤さんは周知のように優れた注目の俳人だが、今年は詩集『渡す手』で中原中也賞を受賞。その受賞のことばでも語っていたが、日本語の最前線を歩き走っている。短歌の方は枡野浩一さんたちと三人で『おやすみ短歌』のユニークで愉しい本を出している。「こゑで逢ふ真夏やこゑは消えるのに」は句集『こゑは消えるのに』のタイトル作。

作者/伊藤一彦(いとうかずひこ)

1943年、宮崎市生まれ。「心の花」会員。「現代短歌 南の会」代表。若山牧水記念文学館長。読売文学賞、寺山修司短歌賞、迢空賞、斎藤茂吉短歌文学賞など受賞多数。

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