寄れば海散れば垂水のか細きのごとく聞きおり蝉の恋歌
宮崎は平野部でもずいぶんと蝉の声が厚みを増してきた。今は細い滝と海の中間、一級河川くらいの規模の合唱だろうか。うるさいと敬遠されがちの蝉の声だが、一つ一つが求愛の歌、しかも地中で数年間を黙ってすごしたのちの……と思えば愛しんで聞けるように思う。
作者/久永草太(ひさながそうた)
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1998年、宮崎市生まれ。宮崎西高文芸部で短歌を始める。宮崎大学在学中は宮崎大学短歌会で活動、第三十四回歌壇賞を受賞する。現在は牧水・短歌甲子園OBOG会「みなと」、「現代短歌 南の会」、「心の花」所属。獣医師。
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