寄りつつも言えぬことばのあることの、水草の花にふる春の雨
穏やかな小川に咲いている水草の花を見たことがある。二十輪ほどの白く小さな花が川の面の上数センチのところに咲いていて、水位が変わったらどのようになるのだろうなどと考えていた。その花に雨が降っているところを見てはいないのだけれど、多分花びらが濡れて少し透き通るような感じになって、さぞうつくしいのだろうなと思う。
作者/福山ろか(ふくやまろか)

2004年、浜松市生まれ。埼玉県在住。高校一年次、現代文の授業をきっかけに作歌を始める。「さえずりに気づく」で第六十八回角川短歌賞次席。「眼鏡のふち」で第六十九回角川短歌賞次席。「白昼」で第三十五回歌壇賞次席。慶應義塾大学在学中。東京大学Q短歌会所属。
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