ひゅんひゅんと蛍光灯の過ぎてゆく窓のうちにて眠りに落ちる
真っ暗な地下鉄の窓を、トンネルにつけられた蛍光灯が一定の速度で過ぎてゆく。その光を見ていると、いま自分が乗っている電車の速度や過ぎてゆく時間に思いが至って、不思議な感覚になる。あまり地下鉄は好きではないので、乗っている間はできるだけ目をつむっていることが多い。ただ、白い光を浴びながら目をつむっているときにもあまり快いものではない感じはあって、朝の通学時は電車が地下に入る前に、できるだけ眠ってしまうようにしている。
作者/福山ろか(ふくやまろか)

2004年、浜松市生まれ。埼玉県在住。高校一年次、現代文の授業をきっかけに作歌を始める。「さえずりに気づく」で第六十八回角川短歌賞次席。「眼鏡のふち」で第六十九回角川短歌賞次席。「白昼」で第三十五回歌壇賞次席。慶應義塾大学在学中。東京大学Q短歌会所属。
コメント