今もある 猛獣に人を襲はせし円形脱毛のごとき円形劇場
同じ職場の後輩も、あつこさんも、お仕事がたいへんなのですね。私の歌人仲間のがんばり屋であかるい女性にもいる。「自己免疫疾患」の一つと言われるが、つらいですね。それをあつこさんは湖の白鳥という詩に見事に昇華している。私の歌、古代ローマのコロセウムである。嗜虐的な光景を高みから眺めた支配者と市民の血は21世紀の人間われわれにも流れている。ウクライナ、ガザ、スーダンほか世界の各地から悲劇が伝えられている。
作者/伊藤一彦(いとうかずひこ)
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1943年、宮崎市生まれ。「心の花」会員。「現代短歌 南の会」代表。若山牧水記念文学館長。読売文学賞、寺山修司短歌賞、迢空賞、斎藤茂吉短歌文学賞など受賞多数。
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