6月になりましたね。梅雨がくるまであと少しでしょうか。
少し遅れましたが、特別ゲストのバトンタッチと、6月についてのおしらせします。
4・5月の特別ゲスト/俵万智さん
4月、5月の二か月間、いちごつみ一家の大叔母として俵万智さんにご参加いただきました。
作者/俵万智(たわらまち)
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1962年、大阪生まれ。「心の花」会員。歌集に『サラダ記念日』『未来のサイズ』『アボガドの種』など。4月からNHK短歌、第二週の選者を務める。
俵さんが詠んだ8首は↓からお読みになれます。
俵さんからのご感想
二か月のいちごつみを終えた俵さんから、ご感想をお寄せいただきました!
どの一語を摘むか、というところから歌作りが始まるというのが新鮮な経験でした。題詠とも違って、一首を構成しているどのワードに自分のアンテナが反応するのかを楽しむような気持でした。
そういう視点から印象深かった場面をピックアップいたします。
いま誰が鬼かわからぬ鬼ごっこ走り疲れて停戦は来ず 久永草太(四月八日)
前日の私が詠んだ校庭での「鬼ごっこ」は、文字通りの子どもたちの遊び。それを戦争の比喩として用いるアイデアは、昨今の世界を反映してのことでしょう。それぞれが相手を鬼よばわりして、ルールもなんだかわからなくなって、ただただ疲弊して、終わらせかたがわからなくなっている悲惨な状況が伝わってきます。「停戦」の一語で比喩を成立させているところが見事だと思いました。
何はさむ 道具箱より鋏を取り出して妻は庭に消えたり 伊藤一彦(五月四日)
前日の「やっとこさ」から、一部分を摘んでの「鋏(やっとこ)」にニヤリとさせられました。こういう変化球も楽しいですね。印象的な初句は、鋏の秀逸なキャッチフレーズのようでもあります。そして結局何がはさまれるのかは謎のまま消えるところ、日常のスケッチでありながら、うっすら不穏な空気が漂うところが魅力で、しばしその余韻に浸りました。
測鉛を投じて測る千年のうたの深海ゆく潜水士 乃上あつこ(五月二十日)
前日の私の歌は、遠くへ言葉を届けるためには軽く平らに……といった趣旨でした。それを受けて、千年の短歌の歴史の重さ深さへと展開されていて、ハッとしました。測鉛は、水深を測るために綱の先に鉛のおもりをつけたもの。水面を軽やかに小石のようにゆく言葉もあれば、深海に重く沈む言葉もあります。どちらがいいとかではなく、どちらも言葉なのだということを、日を連続することで表現されていて見事だと思いました。
俵さん、二か月間ありがとうございました!
6月からの特別ゲスト
6月からは僕(久永)の大学生の弟ということで、福山ろかさんにご参加いただきます。
作者/福山ろか(ふくやまろか)
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2004年、浜松市生まれ。埼玉県在住。高校一年次、現代文の授業をきっかけに作歌を始める。「さえずりに気づく」で第六十八回角川短歌賞次席。「眼鏡のふち」で第六十九回角川短歌賞次席。「白昼」で第三十五回歌壇賞次席。慶應義塾大学在学中。東京大学Q短歌会所属。
新人賞などで名前を見かけた人も多いことでしょう。いちごつみ一家全員、ろかくんの歌が大好きなので、弟に迎えられてとてもとても嬉しい。
毎週日曜日が特別ゲストの歌の日です。お楽しみに!
5月のおしらせ
おしらせ① 歌を回す順番
6月1日から、歌をリレーする順番が逆回転になります。
5月:伊藤→乃上→久永
6月:伊藤←乃上←久永
おしらせ② 6月の写真
月毎に変わっていくサムネイル画像。6月はヘビイチゴの写真になります。
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久永家において、
父「甘い写真が続きすぎている」
祖父「ヘビイチゴ撮ってきたぞ」
という会話がなされ、こうなりました。
6月のいちごつみもどうぞよろしくお願いします!
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