まなぶたを持たぬメダカに一生とは一秒をさえ途切れぬ映画
メダカ、というか、魚類全般に瞼がないということに気がついたのはいつだったろう。目が乾くことのない水中に棲んでいるのだから当たり前ではあるのだが、当たり前だからこそ言い得ぬ衝撃を受けた。瞼とははたして目を乾かさぬためだけの膜なのか。ものを考える時、頭を休めるとき、一口の酒を利くとき、閉じてしまう瞼とは一体何なのだろうか。
作者/久永草太(ひさながそうた)
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1998年、宮崎市生まれ。宮崎西高文芸部で短歌を始める。宮崎大学在学中は宮崎大学短歌会で活動、第三十四回歌壇賞を受賞する。現在は牧水・短歌甲子園OBOG会「みなと」、「現代短歌 南の会」、「心の花」所属。獣医師。
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