草太とはよき名前かな草に学ぶ青人草のいのちなれかし
草は助け合って生きている。そして、他の生きもののために大切な役割を果たしている。他の生命は奪わず、自分の生命はしばしば他の生命のために投げ出している。とても草のようには生きられないが、そんな草の存在を忘れないようにしたい。以前、こんな歌を読んだことがある。「雨に負け風に負けつつ生きてゐる柔らかき草ひとを坐らす」(『月の夜声』)。雨にも負けず風にも負けずと強がらないでも生きて行けるのだ。
作者/伊藤一彦(いとうかずひこ)
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1943年、宮崎市生まれ。「心の花」会員。「現代短歌 南の会」代表。若山牧水記念文学館長。読売文学賞、寺山修司短歌賞、迢空賞、斎藤茂吉短歌文学賞など受賞多数。
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