街灯に白い眼玉が吊るされて雨降る夜はすこし膨らむ
伊藤先生は、空にも海の波にも眼を感じるという昨日の文章を読んだ。それからというもの、自分が気づいていないだけで、本当は無数の眼に囲まれているのかもしれないと思った。そんなことを考えながら、夜道を歩いていたら、街灯の光の玉も眼玉のように見えてきた。
作者/乃上あつこ(のがみあつこ)

1976年、横浜市生まれ。東京女子大学文理学部卒。中国留学を経て現在は銀座の美容施設に勤務。2014年から短歌を始め、第三十一回玲瓏賞受賞。現在は玲瓏、現代短歌南の会「梁」、牧水研究会に所属。
コメント