No.144/2024年5月23日【眼】 街灯に白い眼玉が吊るされて雨降る夜はすこし膨らむ

乃上あつこ

伊藤先生は、空にも海の波にも眼を感じるという昨日の文章を読んだ。それからというもの、自分が気づいていないだけで、本当は無数の眼に囲まれているのかもしれないと思った。そんなことを考えながら、夜道を歩いていたら、街灯の光の玉も眼玉のように見えてきた。

作者/乃上あつこ(のがみあつこ)

1976年、横浜市生まれ。東京女子大学文理学部卒。中国留学を経て現在は銀座の美容施設に勤務。2014年から短歌を始め、第三十一回玲瓏賞受賞。現在は玲瓏、現代短歌南の会「梁」、牧水研究会に所属。

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