No.130/2024年5月9日【あばら】 そんなもんないけど海月(くらげ)のあばら骨折れたみたいな傘まだ使う

久永草太

咳のしすぎで肋骨を骨折することがある、という人間の驚くべき構造上の欠陥を知ったのは、高校のころ、桂歌丸が入院したというニュースを見たときである。頑丈に設計された体ゆえに、自分の筋力でもって自分の骨を破損してしまうという奇妙に衝撃を受けた。クラゲのような強固さの片鱗もない体の方が、案外うまくできているのかもしれない。昨日の歌の、乃上さんの引かない咳が心配である。

作者/久永草太(ひさながそうた)

1998年、宮崎市生まれ。宮崎西高文芸部で短歌を始める。宮崎大学在学中は宮崎大学短歌会で活動、第三十四回歌壇賞を受賞する。現在は牧水・短歌甲子園OBOG会「みなと」、「現代短歌 南の会」、「心の花」所属。獣医師。

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