起きられず二度寝の甘い蜜を吸う二度目を生きる術なきわれら
意識の有り無しの観点から、眠りはしばしば死に例えられる。生と死は一度きりだが、眠りと目覚めは日々繰り返されている。二度寝には、寝てはいけないと思えば思うほど寝てしまう人間の愛しさと切なさを感じる。私たちはそれぞれ一度目の生を生きていて、決して迎えることのない「二度目」への果てしない憧れが潜んでいるのだと思う。
作者/乃上あつこ(のがみあつこ)
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1976年、横浜市生まれ。東京女子大学文理学部卒。中国留学を経て現在は銀座の美容施設に勤務。2014年から短歌を始め、第三十一回玲瓏賞受賞。現在は玲瓏、現代短歌南の会「梁」、牧水研究会に所属。
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