No.118/2024年4月27日【上】 店員の予言をたどる粉砂糖、こぼれてスカートの上に散る

乃上あつこ

カフェでマラサダなるものを注文した時、店員は笑顔で私に告げた。粉砂糖は食感も楽しめてとてもおいしいのですが、飛び散って服を汚してしまうかもしれないので気をつけて食べてくださいね、と。マラサダはポルトガルのお菓子で、穴の開いていないドーナツだ。ひとくち食べると予言は的中し、粉砂糖がこぼれた。食べ終わった私のスカートの上に白く散っていた。こうして私は予言通りの図を見届けた。

作者/乃上あつこ(のがみあつこ)

1976年、横浜市生まれ。東京女子大学文理学部卒。中国留学を経て現在は銀座の美容施設に勤務。2014年から短歌を始め、第三十一回玲瓏賞受賞。現在は玲瓏、現代短歌南の会「梁」、牧水研究会に所属。

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