No.108/2024年4月17日【限り】 限りなき資源のように潤沢に謝罪ばかりが湧き出す油田

久永草太

政治家の揶揄、のつもりで詠んだつもりのこの歌だったのに、なんだこれ、自分のことじゃないかと思う。社会人になって一年、なんと謝ることの多い日々だったろう。カルテの字が汚くて看護師さんに謝り、手術が遅いと言われ院長に謝り、右足でも左足でも採血を失敗して犬に謝る。その度にすり減っていてはたまらないから、いつまでも、いくらでも、底なしに謝れる人でありたい。きっと謝れない人よりはましだと信じて。

作者/久永草太(ひさながそうた)

1998年、宮崎市生まれ。宮崎西高文芸部で短歌を始める。宮崎大学在学中は宮崎大学短歌会で活動、第三十四回歌壇賞を受賞する。現在は牧水・短歌甲子園OBOG会「みなと」、「現代短歌 南の会」、「心の花」所属。獣医師。

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