拒み難く抗い難く桜花散るなら咲いたのは無駄ですか
例年より遅かった桜の花も、雨風にさらされてずいぶん散ってきた。木の一年を思えば、何も花だけが桜の業務ではなく、次には葉を繁らせて光合成をせねばならないし、実を結び種を落とさねばならないし、年輪をまたひとまわり肥やさねばならない。大忙しである。一目でわかる結果論ばかりがもてはやされる時代を、桜は淡々と自分のために散っていく。
作者/久永草太(ひさながそうた)
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1998年、宮崎市生まれ。宮崎西高文芸部で短歌を始める。宮崎大学在学中は宮崎大学短歌会で活動、第三十四回歌壇賞を受賞する。現在は牧水・短歌甲子園OBOG会「みなと」、「現代短歌 南の会」、「心の花」所属。獣医師。
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