No.89/2024年3月29日【左】 火事のごと燃ゆる桜に灼かれつつ身のおぼろなる左党一彦

伊藤一彦

染井吉野の開花の季節である。花見酒もいいし、甘い物を食べるのもいい。去年「日本酒を餡で飲むという醍醐味 ただし極上の酒とあんこで」の歌を発表したら、ある歌人が思いがけず雑誌(「塔」12月号)に文章を寄せてくれた。中野功一さんという人で、やはり日本酒と一緒に甘い物を食べるという。個人的には粒餡のぎっしりつまった豆大福が最高だとも。なお、彼は左党も左党で、酒が好きすぎて、いま新潟で日本酒造りを生業にしているという。

作者/伊藤一彦(いとうかずひこ)

1943年、宮崎市生まれ。「心の花」会員。「現代短歌 南の会」代表。若山牧水記念文学館長。読売文学賞、寺山修司短歌賞、迢空賞、斎藤茂吉短歌文学賞など受賞多数。

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