絞れども絞れどもまだひとしずく落ちてくるなり春の別れは
ジャズバー「ファークライ」のマスターが先日天国へ旅立ったそうだ。カウンターに立ちながらも、ステージ4の胃癌やら心臓病やら、持病だらけだ、と言っていた。店を出るとき「お元気で。俺が言うのも何だけど」と気丈夫に笑わせてくれたその人の声を、ぽつり、ぽつりと思い出す。
作者/久永草太(ひさながそうた)
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1998年、宮崎市生まれ。宮崎西高文芸部で短歌を始める。宮崎大学在学中は宮崎大学短歌会で活動、第三十四回歌壇賞を受賞する。現在は牧水・短歌甲子園OBOG会「みなと」、「現代短歌 南の会」、「心の花」所属。獣医師。
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