むらぎもの火矢放つなり透きとほる空のむかうの君の牙城に
若い二人の恋歌に刺激された。まして今日はバレンタインデー。チョコの代わりに心の火矢を放つ歌だ。女性に成り代わっての歌。「むらぎも」はもともとは五臓六腑だが、転じて心の底の意味をもつ。じつは順番を勘違いして草太さんの「牙」をつもうとしていた。あつこさんからつまなくてはいけないのに。あつこさんからもつんでこの歌。ほうけぞかなしく、いとしき老年。
作者/伊藤一彦(いとうかずひこ)
1943年、宮崎市生まれ。「心の花」会員。「現代短歌 南の会」代表。若山牧水記念文学館長。読売文学賞、寺山修司短歌賞、迢空賞、斎藤茂吉短歌文学賞など受賞多数。
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