鰐の牙持つ君ならばわたくしを殺してくれよあのくちづけで
彦火火出見尊(ヒコホホデミノミコト)が鰐の姿になった豊玉姫を見て驚いたのは、恐怖ではく一時の混乱だったかもしれない。咄嗟の出来事にうまく受け応えられなくて、それが相手を傷つけてしまったのなら、彼の胸にはずっとずっと悔しさが巣くいつづけたろう。
作者/久永草太(ひさながそうた)
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1998年、宮崎市生まれ。宮崎西高文芸部で短歌を始める。宮崎大学在学中は宮崎大学短歌会で活動、第三十四回歌壇賞を受賞する。現在は牧水・短歌甲子園OBOG会「みなと」、「現代短歌 南の会」、「心の花」所属。獣医師。
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