No.39/2024年2月8日【嬰兒】 ころされし嬰児あまたの心音をガザの御空の寒星伝ふ

伊藤一彦

さすが「玲瓏」のあつこさんだ。「五月来る硝子のかなた森閑と嬰児みなころされたるみどり」「ほほゑみに肖てはるかなれ霜月の火事のなかなるピアノ一台」の塚本短歌を思い出すとは。過現未の悲劇を透視する塚本作品はガザの悲劇を予感している。ガザの死者の四割は子どもだと新聞は報じている。明日は「歌壇賞」の授賞式で、昨年の受賞者は久永草太さん、今年は乃上あつこさんの30首が受賞候補作品。三人でいつか「ファークライ」行きたいなあ。

作者/伊藤一彦(いとうかずひこ)

1943年、宮崎市生まれ。「心の花」会員。「現代短歌 南の会」代表。若山牧水記念文学館長。読売文学賞、寺山修司短歌賞、迢空賞、斎藤茂吉短歌文学賞など受賞多数。

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