No.35/2024年2月4日【鬼・子】 鬼の子をわが胸のうちに匿えば荒ぶるも良し春のはじめは

鬼の子をわが胸のうちに匿えば荒ぶるも良し春のはじめは

今日は立春。昨日行われた豆まきで、外に追いやられた鬼たち、そしてその鬼の子たち。行き場を失ったなら、私のところに来ていいよ。みんなみんな、わたしの胸の中に匿ってあげるから。笑ったり泣いたり暴れたり。動きがあってこそ、滞りは解消されて季節は進む。こうして確かに春に近づいていく。

作者/乃上あつこ（のがみあつこ）

1976年、横浜市生まれ。東京女子大学文理学部卒。中国留学を経て現在は銀座の美容施設に勤務。2014年から短歌を始め、第三十一回玲瓏賞受賞。現在は玲瓏、現代短歌南の会「梁」、牧水研究会に所属。