No.29/2024年1月29日【衣・誰】 水流を衣のようにまとわせて誰も触れえぬ女の膚(はだえ)

乃上あつこ

伊藤先生の歌の「襯衣」は、中国語(簡体字)で書くと「衬衣(チェンイー)」。下に着る服、つまり下着の意となる。衣服は温めるものだが、冷たい衣もあるかもしれない。例えば、水流のように冷たく動き続けるものをまとったら、誰も素肌に触れることはできない。流れを止めぬ水はいつだって透明なのに。

作者/乃上あつこ(のがみあつこ)

1976年、横浜市生まれ。東京女子大学文理学部卒。中国留学を経て現在は銀座の美容施設に勤務。2014年から短歌を始め、第三十一回玲瓏賞受賞。現在は玲瓏、現代短歌南の会「梁」、牧水研究会に所属。

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