No.476/2025年4月20日【七】 七味振つてひとりの蕎麦を啜るとき眼を濡らしたりかへらぬ人へ

山下翔

亡羊さんがなくなった。『温泉』の頃からずっと励ましていただいた。宴会などで同じテーブルになると、『温泉』読んだ? 『meal』読んだ? とみんなに話しかけ、おのずからなる応援演説となった。聞かされた方は迷惑だったかもしれないが、それを横で聞きながら、心の深いところを撫でられているような気持ちになった。まだまだうたの話がしたかった。お酒も飲みたかった。亡羊さんの、むかしの話も聞きたかった。

作者/山下翔(やましたしょう)

1990年、長崎県生まれ。福岡市在住。「やまなみ」所属、「ざんぼあ」編集同人。2007年ごろ、短歌を始める。歌集に『温泉』『meal』。現在、長崎新聞に「ぶらぶら短歌日記」連載中。

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