血痰のまじる夕をはやばやと引きあげて飲む食後の薬
三月の終わりから風邪をひいて、いささか長引いている。あらゆる風邪の症状を一巡りして、なかなか味覚が正常にもどらないのには困った。人生の楽しみは食事。おいしくない夕食は早々におしまいにし、布団へ帰る。じっと朝を待つ。朝になったらごはんがおいしくなっているのを願って。
作者/山下翔(やましたしょう)

1990年、長崎県生まれ。福岡市在住。「やまなみ」所属、「ざんぼあ」編集同人。2007年ごろ、短歌を始める。歌集に『温泉』『meal』。現在、長崎新聞に「ぶらぶら短歌日記」連載中。
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