No.460/2025年4月4日【あたたかい】 あたたかい「おばあちゃん」の笑ひなり老婆は一日にしてならず

伊藤一彦

先週土曜日の朝日新聞の「フロントランナー」で芸人の「おばあちゃん」が紹介されていて楽しく読んだ。芸人の世界にうとい私は初めて知った「最高齢の若手」の彼女で、38歳でがんをわずらったことが転機のきっかけの一つになったという。ネットで彼女の舞台を見たら温かい笑いに胸が和んだ。70代になってなぜ芸人に挑戦をしたかと聞かれて曰く「いえ、70代になったからやれるんですよ」。さすがの言葉である。「老婆は一日にしてならず」は言うまでもなく「ローマは一日にして成らず」をもじっているが、たしか歌人の沖ななもさんにかつて教えられ気にいっている言葉である。

作者/伊藤一彦(いとうかずひこ)

1943年、宮崎市生まれ。「心の花」会員。「現代短歌 南の会」代表。若山牧水記念文学館長。読売文学賞、寺山修司短歌賞、迢空賞、斎藤茂吉短歌文学賞など受賞多数。

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