狡しない若きに恋ができるのか老いの寝覚めに心配しをり
今日から4月。自然界がそうであるように人間界も恋の季節である。 恋の歌と言えば、村木道彦の「するだろう ぼくをすてたるものがたり マシュマロくちにほおばりながら」をなつかしく思い出す。ぼくがすてる前に彼女が傷つかないようにすてられてあげた、と私はかつて解釈し た。何という優しさ。私が早稲田時代の慶応の学生だった村木道彦の作品だが、今はこの村木以上に優しい若者が増えているように思う。久永さん。どうですか。
作者/伊藤一彦(いとうかずひこ)

1943年、宮崎市生まれ。「心の花」会員。「現代短歌 南の会」代表。若山牧水記念文学館長。読売文学賞、寺山修司短歌賞、迢空賞、斎藤茂吉短歌文学賞など受賞多数。
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