新じゃがの皮ずるむけてくるような心で満員電車は嫌い
新じゃがの、もはや剥く必要がないほどの薄い皮。袋の中で芋同士こすれて、それだけでむけてしまう儚さである。そのあとを見ると、なんだか膝小僧にできた擦り傷を見るようで痛々しい。宮崎にいると、袋の芋のごとき満員電車に遭遇することは稀だが、だからこそ、東京などに赴いたときにのる満員電車での立ち振る舞いが分からなくて怖い。
作者/久永草太(ひさながそうた)

1998年、宮崎市生まれ。宮崎西高文芸部で短歌を始める。宮崎大学在学中は宮崎大学短歌会で活動、第三十四回歌壇賞を受賞する。現在は牧水・短歌甲子園OBOG会「みなと」、「現代短歌 南の会」、「心の花」所属。獣医師。
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