壱岐焼酎しみつつ胸は隣星に引かれて満ちる潮のごとくに
乃上さんの言う隣星とはどこだろう。僕は月を想像した。隣と言っても38万kmも離れているが、その距離からでも月の引力は地球の海水に及んで潮を満ち引きさせている。月ほど遠くはないが、遠く土地の酒にも引力がある。先日伊藤先生に壱岐の焼酎を頂いた。喉をぐっと押し広げて胸にすうっとしみ渡り腹をじわじわ焼いてゆく、そんな感触だった。
作者/久永草太(ひさながそうた)

1998年、宮崎市生まれ。宮崎西高文芸部で短歌を始める。宮崎大学在学中は宮崎大学短歌会で活動、第三十四回歌壇賞を受賞する。現在は牧水・短歌甲子園OBOG会「みなと」、「現代短歌 南の会」、「心の花」所属。獣医師。
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