No.450/2025年3月25日【交差点】 一年のぜんぶを持って帰る日の小学生座っちゃう交差点

久永草太

離任式か何かだろうか。春休み中の登校日と思しき小学生たちが、ものすごい大荷物で歩いているのを見た。そういえばあったな、そんな日、と思い出す。図工で描いた絵や鍵盤ハーモニカ、お道具箱、引き出しセット。次の学年のために全部持って帰らされて、教室が空っぽになる日。不思議な気持ちになった。あれが人生初の「切ない」だったのかもしれない。

作者/久永草太(ひさながそうた)

1998年、宮崎市生まれ。宮崎西高文芸部で短歌を始める。宮崎大学在学中は宮崎大学短歌会で活動、第三十四回歌壇賞を受賞する。現在は牧水・短歌甲子園OBOG会「みなと」、「現代短歌 南の会」、「心の花」所属。獣医師。

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