No.438/2025年3月13日【いちいち】 風呂、炊事、歯磨きいちいち面倒ないちいち達が織りなす日々は

久永草太

ありきたりな言い方をすれば、毎日同じことの繰り返しで、汚れたら磨いて、減ったら足して、伸びたら切って、日々の収支がなるべく過不足ないように過ごす。いちいち、毎日、やらなければならないことばかりで、歯磨きなんてその面倒くさいものの筆頭だけれど、歯医者に怒られたくないから磨く。こんな漫然とした暮らしだけれど、あの震災や、もしくは戦争の前日までにも、確かにあったはずの漫然とした暮らし。いつ失うかわからないこのいつも通りの夜を、幸福に思いながら、歯を磨かないといけない。

作者/久永草太(ひさながそうた)

1998年、宮崎市生まれ。宮崎西高文芸部で短歌を始める。宮崎大学在学中は宮崎大学短歌会で活動、第三十四回歌壇賞を受賞する。現在は牧水・短歌甲子園OBOG会「みなと」、「現代短歌 南の会」、「心の花」所属。獣医師。

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