手の甲に白粉つけてゆく春のガードレールは鳴らしたいから
小学校の帰り道は、エノコログサやスズメノヒエは軒並み撫で、公園の金網は木の棒でガガガガガっと鳴らし、ドクダミはわざわざ違って嗅いで「くせえ」と言い、手遊びに困らない通学路だった。今もたいして変わらぬ習性のまま社会人生活を送っているけれど、何も考えずにガードレールをカンカン鳴らすと、気づけば手の甲が真っ白になっていて、ちょっと流石に恥ずかしい。
作者/久永草太(ひさながそうた)

1998年、宮崎市生まれ。宮崎西高文芸部で短歌を始める。宮崎大学在学中は宮崎大学短歌会で活動、第三十四回歌壇賞を受賞する。現在は牧水・短歌甲子園OBOG会「みなと」、「現代短歌 南の会」、「心の花」所属。獣医師。
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