戦間と今を言ふ人増えて来ぬゴジラ待つまでもなく人滅ぶ
先日の国連安保理事会で、アメリカ提案の、ロシア批判なしのウクライナ戦争終結案が採択された。アメリカはロシアのウクライナへの攻撃をもはや「侵略」と呼ばなくなった。フランスの世界的な歴史学者のエマニュエル・トッド氏は「今は世界史の転換点であり、アメリカはロシアに対して屈辱的な敗北を経験しつつある」と指摘している。この後の世界はどうなっていくか。やがては第三次世界大戦という恐ろしい声も聞こえてくる。そうなれば核戦争は避けられない。その結果、水爆実験の放射能で巨大化したゴジラがかつて人間を襲ったように、新しく出現したゴジラが人類を襲うことになるのは必定だ。ゴジラはわれわれの心の中にすんでいる。
作者/伊藤一彦(いとうかずひこ)

1943年、宮崎市生まれ。「心の花」会員。「現代短歌 南の会」代表。若山牧水記念文学館長。読売文学賞、寺山修司短歌賞、迢空賞、斎藤茂吉短歌文学賞など受賞多数。
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