No.422/2025年2月25日【月】 茂吉見し根源の代の月の光われは枯野にあくがれて待つ

伊藤一彦

今日は茂吉忌である。斎藤茂吉は昭和28年2月25日に世を去った。満70歳だった。最終歌集「つきかげ」に「軍隊が全くなくなりあかあかと根源の代のごとき月出づ」の歌がある。昭和23年の作らしいから、日本の軍隊がなくなったことを上二句は言っているのだろうか。それにしても、この歌から80年近くたった今、世界の各地で軍隊が大きな顔をしている。「根源の代のごとき月」は待っていても上ってこないか。

作者/伊藤一彦(いとうかずひこ)

1943年、宮崎市生まれ。「心の花」会員。「現代短歌 南の会」代表。若山牧水記念文学館長。読売文学賞、寺山修司短歌賞、迢空賞、斎藤茂吉短歌文学賞など受賞多数。

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