No.417/2025年2月20日【爛々】 目の光以外に「爛々」使えぬかじっと見つめつ祖父の頭(つぶり)を

久永草太

たとえば、「膀胱」という単語でしか登場しない「胱」の字や、「死力を尽くす」という慣用句の中でしか登場しない「死力」のように、妙に使途の限られた文字や言葉があって、活躍の場の少ないことがなんだか可哀想に思われる。「爛々」もそうで、目以外を光らせている文章をみたことがない。もう一首〈爛々と光ってみたし目のほかにたとえば肘のつめたきところ〉。

作者/久永草太(ひさながそうた)

1998年、宮崎市生まれ。宮崎西高文芸部で短歌を始める。宮崎大学在学中は宮崎大学短歌会で活動、第三十四回歌壇賞を受賞する。現在は牧水・短歌甲子園OBOG会「みなと」、「現代短歌 南の会」、「心の花」所属。獣医師。

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