あたたかくふくらみのある純米の人肌の燗にホワイトアウト
この冬の雪国のホワイトアウトは大変だった。私の方のホワイトアウトはのんきで申し訳ない。日本酒は熱燗から冷酒までさまざまに温度によって愉しめる。私は常温が好きだが、季節や料理によって燗をつけたり、冷やしたりする。いずれにしても純米酒はうまい。人肌燗のお酒を口に含んだとき、味覚に集中すべく目を瞑ると、極上の世界に入りこんで一切が見えなくなる。乃上さんのガトーショコラもおいしそうだ。わたしは以前は甘いものはほとんど食べなかったが、今は和風洋風どちらも好きで食べる。年をとって口がいやしくなったらしい。
作者/伊藤一彦(いとうかずひこ)
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1943年、宮崎市生まれ。「心の花」会員。「現代短歌 南の会」代表。若山牧水記念文学館長。読売文学賞、寺山修司短歌賞、迢空賞、斎藤茂吉短歌文学賞など受賞多数。
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